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 北海道保育研究大会(北海道保育協議会主催)が14、15の両日、帯広市内のとかちプラザで開かれた。帯広での大会開催は10年ぶりで、道内の保育関係者234人が参加し、保育に関する研究発表や講演会が行われた。記念講演では、アンガーマネジメントファシリテーターの野村恵里さん(岡山県在住)が「保育者のためのアンガーマネジメント」と題し、怒りとの上手な付き合い方を伝えた。野村さんの講演内容を紹介する。
(本田龍之介)
【2018年6月24日付十勝毎日新聞に掲載】

 岡山市の公立保育所に勤務していた野村さんは、かつて子どもや保護者の間で板挟みとなりストレスを抱え、周囲に対し近寄りがたい空気を出していたという。転機は5年前。自分の感情をうまくコントロールするすべを探す中で、アンガーマネジメントと出合った。学びを深めるうちに、アンガーマネジメントから得た知見を、保育の現場にも適用できるのではないかと考え始めた。
【写真説明】怒りとうまく向き合う方法を話す野村さん

 野村さんは、アンガーマネジメントについて「怒りを我慢するのではなく、必要に応じて上手に怒り、必要のないものに対しては怒らないよう努力すること」と説明した。怒りの源泉には寂しさや悲しさなどのマイナスの感情があり、マイナスの感情が増えると怒りっぽくなってしまうという。

 保育士の中には怒ることができずため込んでしまい、自分の感情をうまく伝えられない人が多くいると指摘。原因は「怒りを悪いものだと考えている人が多くいるのではないか」と分析する。怒りを受け止める上でも、まずは怒りを絶対悪だと決め付けず、自身の感情と客観的に向き合うことで、怒りのエネルギーを前向きな力に変換することができると強調した。

1970年ごろアメリカで生まれたアンガーマネジメントは、企業での研修やスポーツ選手のメンタルトレーニングなど、あらゆる場で取り入れられてきた。「保育士だけでなく、日々子育てに向き合うお母さん方にも学ぶ意義はある」と語る。また「アンガーマネジメントは、子どものうちから感情をうまく整理できるようにする意味でも役立つ」という。子育てに限らず幅広い分野で役立つという、アンガーマネジメント。日々の小さなことから始められそうだ。
【写真説明】野村さんから投げ掛けられた課題を話し合う参加者
 6月に出版した自身2冊目の著書「保育者のための子どもの『怒り』へのかかわり方-アンガーマネジメントのテクニック」(中央法規出版)は、保育所で悩み苦しんだ経験を基にまとめられている。

<プロフィル>
 1972年岡山県生まれ。就実短期大卒。92年から岡山市内の公立保育園で勤務し、現在は、旭川荘厚生専門学院(岡山市)児童福祉学科専任講師。アンガーマネジメントと保育をテーマにした講演などで活動中。

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