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 文字に興味を持ち始める時期には個人差がある。周りに読み書きできる子がいたら気になり焦ってしまいがちだが、左右されずに楽しく覚えさせてあげたい。そこで「これで自然に覚えました」という、豊富なママの体験談を聞いてみた。(小寺泰介)
【2014年8月10日付十勝毎日新聞に掲載】
※文中の肩書き、年齢等は掲載当時のものです。

■ひらがな表活用 絵本読み聞かせ
 4歳男児(長男)を育てる帯広市内のAさん(40代)は、子供向けのかわいらしい「ひらがな表」を2歳のときから食卓テーブルの前に張っている。遊びに行っていた保育所で、既に「ひらがな」が読める子供がおり、「何もないよりいいかな」と配慮して張ったものだ。

 アイスクリームの「あ」…。色とりどりの絵に長男も次第に表へ興味を持ち始め、自分の名前も書けるように。「小学校に入学して、一から文字を習うより『見たことある』が子供の記憶に残っていたら、勉強も楽しくなるかもしれない」とAさんは考える。ただ、教育熱心というわけではなく、「この子が好きそうな動物の絵がいっぱいあったから買っただけ」が本音だ。

■通信講座教材おもちゃ感覚で
 音更町のDさん(32)は幼稚園年中の長男(4)を2年保育で選択した。「周りの子供の発達が、どの程度のペースで進んでいるか分からない。入園までに、ある程度は自分で教えたい」との希望があった。

 昨年12月、タッチすると読みの音声が流れ、楽しく「ひらがな」が覚えられる通信知育講座の教材に申し込んだ。長男はおもちゃ感覚で言葉を覚えていき、気が付くと数カ月で「ひまわり」など、看板の文字をつぶやくように。怒るとやる気をなくすタイプで、「教えようと思って失敗したことも多かった」と振り返る。

 今は鉛筆で線をなぞる練習の真っ最中。「手が震えるし、集中力が持たない」が、小学校入学までにステップアップしてくれたらと考えている。

 同町のCさん(39)は幼稚園に通う年中の三男(4)の上に、小学生の兄が2人いる。兄の影響でコンピューターゲームなどを楽しんでおり、遊びを通して「ひらがな」は自然と読めるようになった。小学校入学後は、同じスタートラインで勉強が始まるが、「実際、書けない子は一人もいないのが現実」と話す。

■兄や友達との遊びを通して/
 兄のときには年中ぐらいから友達同士で手紙の交換などをしていたことも覚えており、「早く書けるようになってほしい」と願い、ひらがな練習帳を買って書く練習をさせている。

 中札内村のDさん(45)の末娘(小学1年)は、年中(5)になる年から「ひらがな」絵本は、一人で文字が追えるようになっていた。「たくさん読み聞かせているうちに興味を持った。無理強いはせず、興味を持った文字について教えていた」

 小学校入学前には名前も書けた。おかげで国語の授業などでは書き順を覚えることも早く、音読では「何が書いてあるのか考えながら読めるようになっていたので勉強も楽しめた」と振り返る。

 「何か特別なことをしなくても、興味は自然に湧いてくる」と話すママも多かったが、生活の中で文字に親しむ環境づくりをそれぞれの工夫でしていた。


■帯大谷短大 上村准教授に聞く

大きい個人差 興味に合わせて

 読み書きの習得に向けてママ・パパたちは、どのように子供に対してアプローチすれば良いのか。帯広大谷短期大学(音更、田中厚一学長)で保育学などを専門にする上村裕樹准教授に聞いた。(井上朋一)

 まず子供の発達は非常に個人差が大きいことの認識が必要。男女の差も大きいし、読み書きが苦手でも身体能力が高いケースや逆のケースもある。難しいかもしれないが、他の子と比べて気にすることはない。

 一般的に、3、4歳から文字に興味を持ち、5、6歳になると大半が平仮名を認識して書き始めるようだ。読み書きは小学校に入ってから学ぶのでも十分。ただ、もし子供が興味を持つのなら、興味に応じて子供が好きな教材を買うなど読み書きを学ぶ準備と環境を整えると良いと思う。

 教材の中には、真っすぐな線や曲がった線、動物の形をなぞるなど、運筆の練習をするものや五十音表などさまざま。子供の興味・関心に合わせていろいろ試すと、子供が楽しむものを見つけられるのでは。

 ただ、教材を買わないといけないわけではない。例えば、五十音のかるたを親子で作るのも一手。五十音1字ずつに合わせて、子供の好きな言葉を一緒に一枚一枚のかるたに書き、絵も添えれば、子供にとってスペシャルな体験となり、楽しんで学べる。

 運筆でも、教材ドリルでも、子供は初めて学ぶのでできないのは当たり前。ママ・パパたちには「いずれ習得できるだろう」とほったらかしにすることなく、かつ焦らずせかさず、子供とともに楽しんで一緒に学べば、子供本人のやる気も引き出せると思う。

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