【子供の健康】鼻水や鼻づまりは放置せず、耳鼻科を受診
子どもが鼻水を出したり、鼻づまりしたりすることはよくあることですが、長引くようだと副鼻腔炎の可能性があります。そのまま放置すると慢性化し、合併症を引き起こすこともあります。帯広厚生病院小児科主任部長・植竹公明先生の協力で注意点などをまとめました。
鼻腔周辺の空洞(副鼻腔)が炎症を起こし膿がたまる
副鼻腔とは、鼻腔(空気の通り道)の周りにある空洞で、頬や眉間、額のそれぞれ内側にあり、内部は線毛という細い毛を持つ粘膜に覆われています。鼻腔と細い穴でつながっていて、ほこりや微生物が入ってきても、通常はこの穴から異物を鼻腔へ出しています。 副鼻腔炎は、風邪などで鼻腔に細菌やウイルスが感染して炎症を起こし、副鼻腔と鼻腔をつなぐ穴がふさがり、膿(うみ)が副鼻腔から外に出されずにたまっている状態です。最初は水のような鼻水が出ますが、細菌が感染すると緑色や黄色っぽい鼻水になります。鼻水が喉のほうに流れて痰(たん)が出るようになることもあります。他に、頭が重い感じがする、よく眠れない、頭や顔面が痛いなどの症状がみられます。
風邪をひいた後、熱が下がり、喉の痛みなどがなくなり、鼻水が出ているだけだと「もう大丈夫だろう」と軽く見がちです。しかし、鼻水が出ている状態や鼻づまりが長引くようであれば、急性副鼻腔炎を起こしている可能性があります。
慢性化すると長期の治療が必要に。合併症を起こすことも
副鼻腔炎には急性と慢性があり、急性は、頭痛や顔面痛などの急性炎症症状が起こりますが、通常は1~2週間で治ります。急性副鼻腔炎を繰り返したり、長引いたりすることによって、症状が3カ月以上続くと慢性副鼻腔炎です。頭痛や頭重感など不快感が続き、夜によく眠れないことで、朝起きるのが悪くなったり、日中眠くなり学習に集中できないなど、日常生活に影響が出てくることもあります。
副鼻腔炎の原因は鼻腔の炎症だけでなく、喉の炎症、カビや虫歯、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなどの場合もあります。副鼻腔炎の原因菌が、鼻と耳をつなぐ管(耳管)から中耳に感染すると中耳炎を起こします。目が痛い、涙が止まらないなど目の合併症が起きる可能性もあります。
まず原因を調べて薬を服用し、吸引や洗浄することも
治療は、まず副鼻腔炎が起きている原因がなにかを、鼻鏡や内視鏡、レントゲン、細菌検査などで調べます。急性の場合は、症状を抑える抗菌薬を服用することが一般的です。慢性は長期の治療が必要です。薬剤を霧状にして口と鼻から吸入するネプライザー治療、抗生剤の服用、鼻腔と副鼻腔をつなぐ穴の周りの腫れを抑え、たまった鼻水を吸引する「鼻吸引」、鼻から管を入れて副鼻腔を洗浄する「鼻洗浄」を行うこともあります。このような治療をしても治らないときは、手術が必要なこともあります。
子どもの「鼻すすり」が止まらない、痰がらみが抜けない、鼻づまりでいびきをかくなどの症状が続くときは、耳鼻科を受診しましょう。
取材協力=帯広厚生病院小児科主任部長:植竹公明先生
この特集記事は十勝の生活応援マガジン「Chai」に掲載された「Chai子供の健康」を再編集したものです。
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