【男記者の育休体験記II】パパの権利、尻込みせずに~取得率上昇…でも3%。取材先の反応は良好
十勝毎日新聞編集局政経部の丹羽恭太記者が、2017年12月末から18年3月までの3ヶ月間、育児休暇を取得します。十勝毎日新聞社の男性では2人目です。今後、育休生活を記事にして随時掲載します。 ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ 間もなく1歳になる長男の子育てのため、3カ月間、育児休業を取得することにした。男性の育休取得率(厚労省調べ)は2016年度に過去最高に達したとはいえ、わずか3・16%。しかもその5割が「5日未満」の単なる連休だ。十勝毎日新聞社でも長期育休を取る男性記者は2例目と少数。これからのお父さんたちの参考になればと、男の育休の日々をつづる。 (丹羽恭太) 【2017年12月24日付十勝毎日新聞に掲載】 わが家は育休中の妻、小学1年の長女(7)、 保育園年中の次女(5)、長男(11カ月) と私(39)の5人家族。 長男が1歳になる今月末から妻は仕事に復帰する。 そのため長男を保育園に入れようとしたが、 地域の園は0歳児クラスがいっぱいで、 いわゆる隠れ待機児童になってしまった。 そこで選択肢になるのが、 (1)長男を託児所などに預ける (2)妻が育休を延長する (3)私が育休を取得する-。 (1)の場合、 朝は次女と長男を別々の施設に送り届け、 夜は長女の学童保育と合わせて3カ所に 迎えに行くことになる。 それだけで軽く1時間はかかる。 妻か私が頑張って午後7時すぎに帰宅できても、 急いで夕飯を作りながら長女の宿題を見て、 1歳児も含め3人に食べさせ、 風呂に入れ、何とか9時までに寝かせ… と考えると、 家での会話は「早くしなさい!」 だけになるのは確実だ。 ということで(1)は却下した。 現実的なのは(2)。 妻は育休延長には前向きで、 妻の職場も理解がある。 でも、妻は長女の出産以来7年間で 通算3年半ほど育休を取得している。 来年4月から保育園に入れることは決まったし、 3カ月ぐらいなら 一度は私が育児に専念してみるのも悪くないな、 との思いで(3)を選択した。 多くの男性が育休に尻込みする理由が 職場との関係だろう。 私もそうだ。 潤沢に人員がいるわけではないので、 周りに多かれ少なかれ負担を掛ける。 でも、それを言っていては いつになっても男性の育休なんて進まない。 それに、女性の育休は祝福しておきながら、 男性は迷惑を掛けるという意識って、 女性に優しいようで実は男尊女卑そのものだ。 周りに負担を掛ける分、 後輩が育休を取るときにお返ししよう。 などと、 いろいろ自分に言い聞かせながら 上司に育休を申請したところ、 「おっ、おぉ、そうか…」と微妙な反応。 制度がある以上ダメとは言えないし、 もろ手を挙げて送り出せば 「お前はいなくても大丈夫」 と言っているようだし、 上司が反応に困るのも 男性の育休ならではかもしれない。 仕事先との関係や世間体を 気にする男性もいるだろうが、 私の場合、 取材先などの反応はおおむね良好だった。 年配男性の「俺たちの時代は考えられなかった」 という言葉からは少々、 否定的なニュアンスも感じられたが、 一番多い声は「いい会社だね」 「今しかできないから楽しんで」といった内容。 「パパのかがみ」と 拍手を送ってくれた女性たちもいた。 世のお父さんたちが、 育休取得に二の足を踏んでいる間に、 時代は変わっているということを実感した。 (毎月第4日曜に掲載予定) <パパ・ママ育休プラス> 今回私が利用する育休の特例制度。両親がともに育休を取得することで、期間が原則1年から1年2カ月に延長される。両親が同時でも交代でも取得でき、期間中は賃金の67%の給付金が国から支給される。この制度に限らず、保育所に入れないなどの理由がある場合の育休延長可能期間が、今年の法改正で1年6カ月から2年に拡大された。