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 今日本の子どもは、
乳児死亡率、新生児死亡率はいずれも世界で一番低く、
出生から10歳までの死亡率も世界で2番目の低さです(2014年)。
健康、教育、栄養の点から子どもの生育環境をみると、
世界で最も整備された国として評価されています。

 しかし、いっぽうで貧困や虐待、いじめ、不登校などの社会問題が増幅し、
子どもたちが直面する困難は深刻化しています。
年齢階級別の主要死因の調査で、
10~14歳で自殺が2位、
15~29歳まででは死因の1位が自殺を占めていること(2015年)。
また、「自分は孤独だ」と答える子どもの割合が約30%という、
他国に比べ群を抜いた数字であること(2007年OECD調査)からも、
子どもたちの心の健康状態は危機的といえます。

 生まれてくる子どもは、
生きる場を選ぶことはできません。
今現在の日本は、戦禍に巻き込まれることもなく、
公衆衛生も整備され、
直ちに生存に瀕するような危機的状況ではないにもかかわらず、
生きづらさを抱えているのです。

また、不安感が強い子どもたちは、
摂食障害、自傷行為、薬物乱用、性非行などの
「自分の健康を故意に害する症候群」と呼ばれる問題行動に発展していくことがあります。

困っているときにどうしたらいいのか、
その対処法を学んだり、
体験する機会が少ないことが事態を深刻化させる一因になっている、
と専門家が指摘しています。

子どもはあそびや直接的な体験を通じて、
家族以外にもいろいろな人と関わり合いながらコミュニケーション能力を養い、
生きるすべを獲得していきます。
あそびやリアルな体験の場が減少してきた結果、
生きる力が脆く、弱くなってきたのですね。
いま、子どもたちの生活にあそびを取り戻すために、
もっと地域が知恵を絞るべき時だと感じます。

同様のことは大人にも、
「助けて!」と言えない『受援力』の低下として現れています。
人に頼ることはいいことで
『受援力』が一つの能力として、
もっとポジティブに捉えられるようにと願っています。

皆さんは、人の役に立つことで喜びや生きがいを感じた経験はありませんか?
《助けられ上手は助け上手》で、
双方に支え合いの連鎖が生まれるかもしれません。

そんな大人同士のコミュニケーションをみながら、
子どもたちも真似る、学ぶ、ものなんじゃないかな。
《子育てはみんなで!》 
こんなところからも、
助けあい、つながり合う子育ての大切さを
痛感しています。

今村江穂(いまむら・みずほ)
親子に質の高い観劇の機会や遊び場の提供、帯広市のファミリーサポート事業を受託する、NPO法人子どもと文化のひろば「ぷれいおん・とかち」(帯広市西20南5)の理事長。
1967年、北九州市で生まれる。97年、帯広へ転入。22歳の長女(社会人)、18歳の次女(大学生)、14歳の長男(中学3年生)がいる。

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