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 絵本の魅力を伝えるスペシャリスト「絵本専門士」。十勝では帯広大谷短期大学附属図書館(音更町)の司書、水野有子さんがただ一人、認定されている。資格を取得して1年。活躍の場を広げつつある水野さんに、絵本の魅力や読み聞かせ方を聞いた。
(高田晃太郎)
【2019年11月03日付十勝毎日新聞に掲載】


【写真説明】お薦めの絵本を前に、「絵本を通して親子で積極的にコミュニケーションを図って」と話す水野さん

 -資格を取得しようと思ったきっかけは。

 老人ホームで実習する学生から、「お年寄りと共通の話題を作るため、絵本で昔話を勉強したい」と頼まれた。世代を超えて交流できる絵本の魅力と、司書として体系的な知識を学び整備する必要性を感じ、高校受験を控える娘と一緒に“受験生”になった。書類選考後に受けた養成講座では、同期に看護師や書店経営者、アナウンサーがいた。絵本への熱量がすごく、刺激になった。

 -絵本の魅力は。

 息長く親しまれ、幅広い世代が楽しめるところ。子どもの物と思われがちだが、絵本の深い物語を紹介すると、「こんなに面白いのか」と興味を持つお年寄りもいる。大人になって改めて読むと、癒やされたり、新しい発見をしたりと受け取り方が変わる。教訓を押しつけるのではなく、静かに語り掛けてくれるところも良い。

 -絵本が子どもに与える影響は。

 絵本は、子どもが初めて触れるメディア。世界を知るための扉となり、想像力も豊かになっていく。例えば有名な絵本「はらぺこあおむし」を読めば、青虫が普段葉っぱを食べていると自然に学ぶことになる。

 -どう読み聞かせたらいいか。

 公共図書館が主催する読み聞かせ会に参加し、間合いやページのめくり方を見てみるといい。けれど、うまい下手よりも、まずは絵本を楽しく読める環境を整えることが大切。子どもたちの前で読み聞かせをすると、食い入るように見てくれるのを感じる。しっかりと絵を見せながら、膝に乗せて、同じ物語を何十回でも読んであげてほしい。

◆お薦めの一冊
「でんごんでーす」 マック・バーネット著
 お母さん鳥が、「晩ご飯だから、帰っておいで」と息子に伝言を送るが、電線の上で鳥たちが伝えていくのはちんぷんかんぷんなことばかり。「緩急がある展開で、最後の落ち部分でなぜか(物語が)きれいに回収されていく小気味よさを味わえます」

<絵本専門士>
 絵本に関する高度な知識や感性を備えた専門家で、文部科学省所管の国立青少年教育振興機構(東京)が認定する。今年度募集した第6期の倍率は約20倍。全国で281人(道内6人)が認定され、読み聞かせやワークショップなどを通して絵本の魅力を伝えている。

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