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 産後、母親の10人に1人がかかるとされる「産後うつ」。生活の激変によるストレスが原因とみられ、自殺という最悪の事態も招きかねない。そんな状況を防ごうと文京学院大学(東京都文京区)が啓発冊子「ママから笑顔がきえるとき」を作った。監修した同大学保健医療技術学部の市川香織准教授は「産後うつは誰でも起こり得る。1人で抱え込まず周りに助けを求めて」と呼び掛けている。
【2017年12月3日付十勝毎日新聞に掲載】


【写真説明】啓発冊子「ママから笑顔がきえるとき」

 冊子は母子健康手帳に挟める大きさで、出産後の体調や気持ちの変化、具体的な対処法などについて記載している。

 助産師でもある市川准教授は、産後うつが問題となっている背景には出産年齢の高齢化があるとみる。日本では従来、妊娠・出産時の支援は女性の家族が行うことが多かった。しかし、支援する側の家族も高齢になり、その上の世代の介護をしているケースも少なくなく、頼れる存在が減ったことが大きいという。

 また、高齢出産だと帝王切開の可能性も高まり身体的な負担も重い上、ちょうど会社では責任ある仕事を任される時期だけに社会的喪失感も強い。「体がつらい中、育児もうまくできず、『こんなはずじゃなかった』と思うのも無理はない」

        ◇
 産後うつでは、何もする気が起こらない、朝なかなか起き上がれない、訳も分からず惨めな気持ちになる、といった症状が出やすい。

 広尾レディース(東京都渋谷区)の宗田聡院長は「母親が育児に無関心になると、子どもの成長にも影響が出かねない。産後うつは家族をも巻き込む大きな問題だ」と指摘する。

 産後うつは自殺にもつながる。東京都監察医務院などの調べでは、東京23区で2005~14年に自殺した妊産婦は63人に上った。産後に自殺した女性40人の6割に精神疾患があり、その半数以上が産後うつだった。

 国もこうした事態を重く見て、妊産婦へのアドバイスや支援事業の紹介などを行う「子育て世代包括支援センター」の市町村への設置や、産後2週間と1カ月に行う母親の精神状態を確認するための検診への費用助成など、対策に乗り出した。

 宗田院長は「産後うつは本人の性格に加えて、大きな環境変化によるストレスが引き金となるので、父親にも起こり得る病気だ」と話している。

◆◆◆◆◆

/慶愛病院(帯広)に相談窓口/

 十勝管内でも出産間もないママの子育ての不安を和らげるため、相談・支援体制が充実してきている。それぞれの役場や子育て支援センターなどに相談してみては。
(丹羽恭太)

 帯広市内の慶愛病院は4月、道東初の産後ケアセンター「クローバー」(東3南9)を開設した。おっぱい外来や育児関連の各種講座を開いている他、デイケア型のサポートを提供しているのが最大の特徴。

 センターに滞在しながら、助産師らに自身の生活や体調の不安、育児方法などについて相談できる。赤ちゃんを一時的に預かってもらえるので、ゆっくり休養して心と体をリラックスさせることが期待できる。

 看護部・おっぱい外来の平智恵子師長は「産後はホルモンのアンバランスや本人の気質、家庭状況などによって、子どもが生まれたことはうれしいのに不安になることがある。なぜか涙が出たり、いつもの自分じゃないと思うようなときは相談を」と呼び掛ける。

 デイケアの利用料金は1回1万5000円。帯広市、音更町は助成制度があり、原則1割負担で利用できる。問い合わせは同院(0155・22・4188)へ。帯広市民、音更町民は各役場の担当課に申請。

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