【子育てニュース】「パンのおうさま」3作目。恋の物語描いた絵本~帯広出身えぐちさん。子育て中、実家で制作
帯広市出身のアートディレクター・アーティストえぐちりかさん(東京都在住)は、絵本シリーズの第3作「パンのおうさまとおきさきさま」(小学館)を出版した。ぬくもりあふれる絵とストーリーで、甘酸っぱい恋の物語を描いた。 【2019年11月18日付十勝毎日新聞に掲載】 【写真説明】特徴的な装丁の「パンのおうさまとおきさきさま」(右)を出版したえぐちさん えぐちさんは帯広緑丘小、帯広第五中、帯広柏葉高などを経て、2004年に多摩美術大大学院工芸科を修了。同年から大手広告会社電通のアートディレクターを務める。現在は、人気グループ嵐の初の展覧会「ARASHI EXHIBITION JORNEY」のアートディレクションなどを担当。青山学院大学えぐちりかラボ非常勤教員。 絵本「パンのおうさま」は14年に第1作を発売。好評を得て、17年に第2作「パンのおうさまとシチューパン」を発表した。子どもっぽくも独創的なアイデアを思いつく魅力的なおうさま、短くキャッチーな言葉などが人気を集め、累計発行部数は6万部を超える。 編集者からは早期の続編出版を求められたが、本業が多忙の上、9歳から2歳までの3人の子育て中で、制作に当てる時間は限られる。絵を描いていると子どもが寄ってくるため、東京の自宅では原画制作に必要な絵の具が使えない悩みがあった。 そこで、今年の正月に帯広の実家に帰省した際に父母に子どもの面倒を見てもらい、原画を集中して書き上げた。えぐちさんは「大好きな満寿屋のパンを食べながら、自分の部屋で絵本を描くのは至福の時間」と笑顔を見せる。 今作は夕焼けなどを丁寧に描き、言葉とともにおうさまの気持ちを表現した。パンでできたベッドや丘なども登場し、「パンは食べるのが当たり前だが、違った形にすることで子どもの発想力が育つのでは」と話す。 絵本は食パンの形をした装丁が特徴で、今回は恋の物語に合わせ、イチゴ色に。1作目のココア色、2作目のカボチャ色と合わせ、インテリアとして飾ることも想定した。えぐちさんは「クリスマスシーズンに向け、ギフトにも最適。今後は年1冊ペースで絵本を出したい」と話している。 1100円(税別)。書店の他、満寿屋商店を含むパン屋やセイコーマートの一部店舗などでも販売する。(池谷智仁)