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 子どもは風邪をひいたときやインフルエンザにかかったときなど扁桃腺(へんとうせん)が腫れることがよくあります。扁桃は口の奥だけではなく鼻の奥にもあり、大きくなり過ぎると成長障害や睡眠時無呼吸を引き起こすことがあります。扁桃について帯広厚生病院小児科主任部長・植竹公明先生の協力で、についてまとめました。

扁桃は就学前に最大となり中学生ごろから縮小
 単に「扁桃腺」と言う場合、口の奥、喉の入り口に見える「口蓋(こうがい)扁桃」を指します。扁桃は他にも、鼻の奥の突き当りで、喉の入り口上側に「咽頭扁桃」(アデノイド)があります。扁桃は、鼻や口から入ってくるウイルスや細菌から体を守る働きをしています。口蓋扁桃は胎児のころから形成され、生後6カ月から発育が始まり6、7歳で大きさが最大となり、13歳ごろから小さくなり始め思春期以降は萎縮します。アデノイドの発育は5、6歳ごろに最大となって、それから小さくなり始め13歳ごろには縮小します。

扁桃腺を繰り返すとき手術で切除することも
 幼小児の扁桃腺炎の原因は、アデノウイルスやインフルエンザなどのウイルス、マイコプラズマ、黄色ブドウ球菌や溶連菌、肺炎球菌などの細菌の感染です。扁桃腺炎は肥大が多い幼児期に頻発し、逆に肥大が少ない乳児と思春期は炎症を起こすことが少なくなります。急性ウイルス性扁桃腺炎の症状は、鼻水、鼻づまり、せきなどのほか、口の奥の粘膜や皮膚、消化器に症状が出やすくなります。溶連菌感染が原因の場合、乳幼児期は比較的緩慢な経過で微熱や鼻炎症状、不機嫌になる、頸部(けいぶ)リンパ節炎が主な症状です。年長児や学童期の溶連菌感染では、体温が39℃程度の急激な発熱、のどの痛み、飲み込んだときの痛み、頭痛、腹痛、おう吐、発疹、下顎(がかく)リンパ節の腫れなどです。
 治療は、薬の内服やのどの消毒などで1、2日程度安静にしているとほとんどの場合、治ります。扁桃腺炎を1年間に4、5回以上繰り返したり、扁桃腺炎で発熱が頻繁にある、難治性中耳炎、反復性中耳炎、無呼吸がみられるなどがある場合は手術が必要になることもあります。

異常な肥大は鼻の奥がふさがれいびきや睡眠時無呼吸も
 小児において、口蓋扁桃が異常に肥大することがあります。物をかんだり、飲み込んだりすることに障害が出て、口呼吸となり、アデノイドの異常な肥大を併発する可能性があります。口蓋扁桃の異常な肥大の原因ははっきりとしていません。アデノイドが肥大しているときは口蓋扁桃も肥大していることが多く、鼻の奥(後鼻孔)が閉じてしまい鼻づまり、いびき、哺乳障害、睡眠時無呼吸などを引き越します。鼻の奥には耳と鼻をつなぐ管「耳管」があり、アデノイドの肥大によって耳管の入り口がふさがれたり、圧迫されたりするため滲出性(しんしゅつせい)中耳炎が起こりやすくなります。この中耳炎は音に対する反応が鈍くなるので、聞き返しが多い、テレビのボリュームを上げるなどの症状があった場合も医療機関を受診したほうが良いでしょう。
 睡眠時無呼吸は、覚醒しているときはある程度、口呼吸で補うため荒い呼吸音となり、口をしまりなく開けている状態(アデノイド顔貌=がんぼう=)となります。しかし、寝ているときは無呼吸となることがあり、突然死の原因となることがあります。睡眠時無呼吸となることで朝に寝起きが悪くなったり、頭痛を訴えたり、日中に集中力がなく学業に影響がでたり、成長障害、呼吸が苦しく一生懸命に呼吸するため胸郭が変形するなどの症状があります。アデノイド肥大も手術して切除が必要なことがあります。


取材協力=帯広厚生病院小児科主任部長:植竹公明先生
この特集記事は十勝の生活応援マガジン「Chai」に掲載された「Chai子供の健康」を再編集したものです。
Chai電子書籍版はこちら:https://www.catapoke.com/viewer/?open=66d6a

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