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 自分の価値や存在意義を前向きに受け止める「自己肯定感」。子どもへ向けた言葉遣いのちょっとした心掛けで、こうした感覚が高まり、豊かな人生につながる。自己肯定感を解説した著書が話題の心理カウンセラーの中島輝さんに聞いた。
【2020年01月19日付十勝毎日新聞に掲載】

 中島さんによると、自己肯定感とは自分の軸を支えるエネルギーで、誰もが生来持っているもの。成功や失敗などの経験や、その時の感情や寝不足や疲労といった体調に影響されるなど、変動が見られるものという。

 親子の間では影響が強く表れ、特に子どもが小学校低学年くらいまでの時期は言葉に心配りが必要だ。例えば「だめな子ね」などと失敗をとがめる否定的な言葉は、子どもだけでなく、親自身の自己肯定感も低くするという負の連鎖に陥り、家庭の雰囲気も悪くなってしまう。

 改善には、お礼に「ありがとう」と笑ったり、晴れの日に窓を開け「気持ちいい」と言ったりといった具合に、生活の中の何気ない肯定的な言葉を増やしていくことが重要。「意識して続けることで、雰囲気は変わっていきます」

失敗を成長の糧に

 出来事を捉え直す「リフレーミング」も有効だ。子どもが水をこぼしてしまったら、頭ごなしに怒らず、一呼吸置いてから「どうやったらこぼれないか考えてみよう」など前向きに捉え直す言葉を掛ける。「失敗は成長の糧。ネガティブな出来事をラッキーと思えるようになれば未来につながります」

 また、不安は自己肯定感を低下させるので、安心感を与えるよう心掛けることが大切という。例えば、「待っていなさい」と一言で制するのではなく、「こういう理由で今は忙しい。だから10分だけ待ってくれるかな」と具体的に伝えると、子どもは漠然とした不安から解放される。こうしたアプローチの習慣化で親自身も感情に振り回されなくなり、親子の自己肯定感も高まる。

 インターネットのSNSが発達し、育児の方法論やママ友の投稿など、大量の情報が入ってくる時代だが、大事なのは、他人と比較したり、「いいね」に一喜一憂したりしないことだという。「自分で自分を肯定し、『いいね』と言ってあげる力が大切。自己肯定感は何歳でも、いつからでも高められるので、親子でともに過ごす時間を楽しみながら高め合ってもらえれば」と話す。
【写真説明】中島さんの著書「自己肯定感の教科書」「自己肯定感ノート」(SBクリエイティブ、各1430円)

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