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 出産後の数カ月間は、赤ちゃんから目が離せない時期。母親が休息を取り、育児相談を受けたりする「産後ケア」の制度を整備する自治体が、十勝管内でも増えている。地域社会から孤立せず、ゆったりとした気持ちで子育てに向き合う時間をつくり、育児ノイローゼなどの防止につなげる狙いがある。
(小寺泰介)
【2019年6月16日付十勝毎日新聞に掲載】

/日帰りと訪問、「悩み吐き出し元気に」/

 「今日はいい顔しているね。ちょっと見ないうちに大きくなったんじゃない?」。10日午前、芽室町保健福祉センターあいあい21。助産師歴約40年の高原寿美子さん(60)が、2週間ぶりにやって来た40代女性の第2子(2カ月)を抱き上げた。「頬がふっくらしてきた。少しずつ笑うようにもなりました」と女性は安心した表情で打ち解け、和やかな雰囲気の中で日帰り産後ケアが始まった。

【写真説明】産後の育児に悩む母親と笑顔で向き合い、元気づける助産師の高原さん(右)

/サービス対象も拡充/

 芽室町は4月から管内で初めて、無料で受けることができる自治体直営の同ケアを導入した。事業所に委託し、自宅を訪問する従来の産後ケア1回(1000円)と合わせて計4回まで利用できる。「回数を増やしてほしい」「家に来てもらうだけでない選択肢を」といった要望に応えたもので、サービスの対象も産後2カ月未満から同4カ月未満の母子にまで拡充した。

 利用実績は約2カ月間で20件(日帰り18件、訪問2件)。訪問が1回のみ利用できた昨年度1年間の24件に比べ、好調に推移している。この日、日帰り産後ケアを受けていた同女性も、4回目の利用だった。

/プロの助産師に相談/

 「母乳とミルクの混合授乳の量・割合が大丈夫なのか、悩みがある」といい、毎回計測する赤ちゃんの体重を基に、高原さんから的確なアドバイスを受けている。夫は函館市に単身赴任中で相談相手も限られ、「何か困ればプロの助産師さんに聞くことができる安心感がある」と話す。授乳のために睡眠時間も削られており、「少しの時間抱っこしてもらえるだけでも、すごく休まる」とくつろいだ様子だった。

 同ケアは最大3時間、専用の個室で助産師が付き添い、困っていることなどを相談できる。授乳方法で助言してもらったり、乳房マッサージを受けることができ、仮眠ができるベッドもある。高原さんは「手放しにせず、継続した支援が大切だ」と力を込める。会話するうちに泣き出す母親は珍しくないといい、「悩みを吐き出し、元気をつけて帰ってほしい」と利用を呼び掛けている。

 助産師をはじめ管理栄養士や臨床心理士、保健師、保育士と多くの専門職が所属していることが自治体直営のメリットといい、芽室町子育て支援課子育て支援係は「専門職が連携して不安解消につなげたい」としている。芽室町の日帰り産後ケアに関する問い合わせは、町役場の助産師(0155・62・7830)へ。

 このほか、帯広市と音更町、池田町は慶愛病院「クローバー」に事業委託した日帰り産後ケアを実施。幕別町は自宅訪問の同ケアを行っている。

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