【上士幌】町内在住の渡辺雅美さん(40)が、上士幌町の市街地に産前産後の母親のケアを行う助産院を開業する。町内にこれまで助産院はなく、年間30~40人が生まれる新生児とその母親が安心して地域の中で暮らしていける環境をつくっていく。開業は7月の予定。 【2021年02月11日付十勝毎日新聞に掲載】 【写真説明】ママのホットステーションで乳児の世話をする渡辺さん。助産院の開業に夢を膨らませる 渡辺さんは町主催の「かみしほろ起業塾」を受講し、助産院に関する事業計画を作成。新規事業として開業する人に町が助成する「事業着手金支援制度」で今年度の最優秀賞に選ばれた。 渡辺さんは出身地の岡山県で17年間、助産師をしてきた。4年前に長男を出産。上士幌は空気がきれいで、子育てしやすいと知人に勧められ、1年前に家族4人で移住した。 現在は町保健福祉課でパート勤務をしながら、産前産後の母親の憩いの場として開かれる「ママのホットステーション」のスタッフを務めている。そこで近くの助産院に行くまでに1時間以上かかっている現状を知り、町内での助産院の開業を決意した。 助産院では、授乳のためのマッサージや産前産後の悩み相談を受ける。出産を除く妊娠から産後までを一緒に歩み、育児に追われて母親が孤立することがないよう、「いつでも気軽に立ち寄れる場所」を目指す。 来院できない人や町外に住む人への出張訪問、オンライン相談のほか、家族も見られるように産前の準備や育児についての動画販売も考えている。渡辺さんは「妊婦は人に優しくされた分、赤ちゃんにも優しくなれる。母親の優しさのタンクを満杯にしてあげたい」と意気込んでいる。