「毎日マスク」に思うこと
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)から3年が経過しようとしています。依然として、大人同様に子どもへもマスク着用や非接触、黙食などを求め続ける日本社会の有り様に、疑問や不安を感じていませんか?
子ども期は、他者のさまざまな表情を経験しながら、他者の心の状態を理解したり共感したりする、ヒト特有の社会性を身に着けていくとても大切な時期です。「子どもの脳は、大人のミニチュア版、小型版ではない」という科学者の悲痛な叫び※を、子どもに関わる皆さんと改めて共有したいと思います。
ワクチン接種しても、生真面目にマスクを装着し続けても、“第8波が到来か?”という今日この頃。エビデンスをもとにコロナ対策を議論し、軌道修正する様子が見られないことにも慣れっこになり、首相とて海外ではマスクをお外しになる映像には言いようのない無力感を覚えます。子どもたちはあの姿
をどんな思いで見つめているのでしょう。
日本で、子どもに寄り添った議論が全くなされてこなかったのは、欧米諸国とは決定的に異なるといいます。
悶々とした思いを抱えながらも、ぷれいおんでは、子どもたちが体験を通じて五感を使い、心揺さぶられるような感動や、興奮などの身体感覚を味わうこと、感性を養える機会を創り続けています。他者の心の機微を、身体経験を通して感じる社会的感性が育まれにくくなっている以上、よりよく育つための環境を整えることは大人の大切な役目だと考えるからです。
コロナとの共生を実現する社会に向け、群れて育ちあい「みんなで育てる」ヒトの生存戦略や、子どもの脳と心を育む環境の本質を、正しく理解することが一層重要になっています。次代を担う子どもたちの健康的な育ちを最優先に、「こうすれば安全安心な暮らしを守ることができる」という、新たな社会的な合意が欲しいと切実に願っています。
※「マスク社会が危ない」子どもの発達に「毎日マスク」はどう影響するか? 明和政子著 宝島社新書
今村江穂(いまむら・みずほ)
1967年、北九州市生まれ。97年に帯広市に転入。
2003年~前身帯広西おやこ劇場の運営委員長を経て、2006年NPO法人子どもと文化のひろばぷれいおん・とかちを設立、理事長に就任。
こどもの遊びや体験活動、子育て支援など、子育ち親育ち環境の充実をめざして多世代で活動中。
2013年~帯広市ファミリーサポートセンター事業受託。
こども環境学会認定こども環境アドバイザーも務める。
22歳から29歳までの1男2女の母。
十勝管内芽室町在住。
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