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昔、家族が多い、兄弟が多いという家庭で育った子ども達は、頂いたお菓子や母親が用意したおやつを
兄弟で分け合うことが当然だと思って育ってきた。
しかし、現在は核家族化が進み、兄弟も少なく
物を「分け合う」という機会がめっきり少なくなった。

そんな中、先日、
みどりっこクラブのクリスマス会で
私たちはお楽しみゲームの一つに「じゃんけん列車」を行うことにした。

参加児童全員に首からチロルチョコ付きネックレスをぶら下げてもらい、
じゃんけんに負けたら、そのネックレスを勝者に差し出すという形でじゃんけん列車を行なった。

ゲームを始めて間もなく…
案の定、一人の児童が大声をあげて泣き始めた。
じゃんけんに負けて自分のネックレスを渡すのが嫌だというのだ。
勝者は、「負けたんだから、ちょうだい!」と言っている。
高学年の児童数人が泣いている子をなだめすかし、
負けた子の首からネックレスを外し、
勝った子に渡した。

ネックレスを奪われた子は、中々泣き止まず、
列から外れて体育館の隅でスタッフに慰められていた。
そして結局、じゃんけんを勝ち抜いて最後に残ったのは、一年生の男子児童であった。

彼は首から100以上のネックレスをぶら下げ、
「重い、重い」と嬉しそうな顔をしていた。
私は彼の腕を持ち上げ、
「今日のじゃんけん列車の優勝者は、H君!」
と言うと、彼は照れくさそうな、
でも誇らしげな様子だった。

私は続けて彼に尋ねてみた。
「H君、このチロルチョコ、全部あなたのものなんだけど、あなたはこのチロルチョコ全部お家に持って帰って、一人で食べる?それとも…ここにいるみんなに返してあげる?」と。

すると周りの子ども達は、
「欲しい、欲しい!」
「H君、一人で食べたら虫歯になるよー!」
などと囃し立てていたが、
H君は、しばらく考えてから、
「やっぱり、みんなに分けるー!」と言ってくれた。

周りの子ども達はみんな
「わあー、H君、カッコイイ!」
「やっぱり優しい。」なんて言っていた。
私も嬉しくて、ついつい彼の頭を撫で
「H君、カッコイイね。ヒーローだね。」と言うと、
少し顔を赤くして照れていた。

もちろん、一つずつチロルチョコを返してもらったみんなは、H君にお礼を言った。
私はそれから彼に、
別に用意してあった優勝者用のプレゼントを渡した。
「H君、あなたは本当に良い子だね。これは、みんなにチョコを分けてくれた君にサンタさんからのプレゼントだよ。」と…

すると、彼は
「今日は最高の日だ。じゃんけんも勝ったし、みんなも喜んでくれたし、ご褒美のプレゼントももらったもん!」と言った。

「分け合う心」に満足した瞬間だ。
子ども達には、こんなに優しい心が宿っている。
私たち大人は、ついつい、それを見逃すことが多い。
そして、子ども達から学ぶことが多いのだ。

「分け合う心」…私たちもこの心を忘れてはいけない

保前明美(ほうぜん・あけみ)
旭川出身。帯広市PTA連合会会長を2年、北海道PTA連合会副会長を1年務め、現在帯広市PTA連合会顧問。2016年度日本PTA全国協議会年次表彰個人の部で受賞。放課後居場所広場よんかけサポーターズクラブ代表兼コーディネーター、帯広第五中学校・緑丘小学校学校地域支援本部コーディネーターとして、学校と地域を結びつける役割をしている。社会人の長女を筆頭に1男2女の母。モットーは「和して同ぜず」。

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