「特別な子」幻想~普通じゃダメなの?
将棋界の史上最年少プロ棋士の躍進がマスコミをにぎわせています。
彼が子どもの頃に遊んだピタゴラ系の木のおもちゃが品切れ続出で、
ネット上では高値で売買されているのだとか。
それ、うちにもあります。
ただし、息子は大して興味を示さず、
長年ケースの中に眠っていました。高かったのに!
これで夢中になって遊ぶ子なら将来は頼もしいな、と
夢見たかもしれません、当時は。
最近になって、
うちにあそびに来たキッズたちがほこりまみれのケースから中身を取り出し、
長年の沈黙を破って遊び始めました。
さぞかし、おもちゃも喜んでいることでしょう。
ヨカッタ、ヨカッタ。
さて、私の失態でも明らかなように、
往々にして親は良かれと思い先回りをしてしまいます。
そして、
結果(成果)を求めようとする悪しき習性も。
このおもちゃで遊んだからといって、
決して天才棋士にはなれないし、
誰かの真似をして同じ到達点をみる訳でもないのに。
同様に、
ぷれいおんのさまざまな体験活動や良好な人と人とのつながりを経て、
“どんな大人に成長しますか?”と、
期待を込めて尋ねられることがあります。
“うーん”と、しばし考えてみたところで特別に素晴らしいサンプルが思い浮かぶ訳もなく。
「あれ?もしかして説得力ない??」
という場面が過去にも何度かありました。
でもちょっと待って!
子どもにとって大切なことは成果ではありません、
あくまでプロセス。
正解もゴールもない遊びや、
大人から見れば無意味、無駄にも見えるような子どもの時間です。
それをいかにあたたかく見守ってやれるか、
その子に寄り添って共感できるか。
周囲の大人のまなざしが重要です。
子ども自身が意欲的に夢中になれることをやり尽くす体験ほど、大人になったときの彼らを支えるものはありません。
どうか人との比較や優劣の観点からの「特別さ」に憧れたり、
過剰な期待感で子どもを誘導したり、親のエゴで子どもが自ら夢中になれる時間を奪わないでください。
もっとも、かけがえのなさ、
愛おしさの意味での「特別さ」は子育ての原動力!
その思いを大切に、子どものわくわくどきどきに寄り添い共感できる大人でいたいですね。
今村江穂(いまむら・みずほ)
1967年、北九州市生まれ。97年に帯広市に転入。
2003年~前身帯広西おやこ劇場の運営委員長を経て、2006年NPO法人子どもと文化のひろばぷれいおん・とかちを設立、理事長に就任。
こどもの遊びや体験活動、子育て支援など、子育ち親育ち環境の充実をめざして多世代で活動中。
2013年~帯広市ファミリーサポートセンター事業受託。
こども環境学会認定こども環境アドバイザーも務める。
16歳から24歳までの1男2女の母。
十勝管内芽室町在住。
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