【子供の健康】学童期や思春期に多い『起立性調節障害』
めまいは子供でもしばしば訴える症状ですが、特に思春期には精神的ストレスの他に起立性調節障害が大きな原因のひとつです。子供のめまいについて起立性調節障害を中心に、帯広厚生病院小児科主任部長・植竹公明先生の協力でまとめました。
■立ち上ったときにくらくらする、倦怠感
子供がめまいを起こし訴える場合、ぐるぐる回っているような感じがする回転性めまいだけでなく、大人とは異なり「くらくらする」「体が浮いているような感じがする」「倒れそうになる」などと表現することもあります。
起立性調節障害は、体の成長が著しい小学高学年から中・高生など思春期前後に多くみられます。主な症状は立ち上がったときの立ちくらみと倦怠(けんたい)感です。その他にも朝の寝起きが悪かったり、立ち上がったとき目の前が暗くなる、吐き気、頭痛、腹痛、動悸(どうき)などを訴えます。登校できなかったり、学校に行けたとしても午前中は活動が低下して、授業に身が入らなかったりします。一方、午後から夜には元気なことが多いです。
■循環器系や自律神経系身体機能の発育が未熟
起立性調節障害は、自律神経機能失調の一つと考えられています。起立性調節障害によるめまいの原因は、体の成長に比べて循環器系や自律神経系などの身体機能の発育が未熟なために、急に起き上がったときに頭部への血液供給が間に合わない場合に起きます。いわゆる脳貧血状態です。血圧が低下している午前中、季節では気温が上昇して血圧低下が起きやすい春から夏にかけて起きやすい傾向にあります。身体機能の成長に伴って症状は軽減されていきますが、女の子の場合、成人後も症状が続く場合があります。診断は、問診や安静臥位(がい)と起立時の血圧と脈拍の変化を比較するなどします。起立性調節障害の子供は、立ち上がると血圧が低下したり、脈拍が急激に変化したりします。まずは思春期の身体特徴のひとつとして理解し、規則正しい生活に心がけて、急に立ち上がったりしないように注意します。症状が強いときは薬が必要な場合もあります。
■内耳炎などでめまい起こすことも
幼少期のめまいでは、「小児良性発作性めまい」が少なくないと言われています。2~4歳ころの幼少児に数秒から数分の回転性めまいが突然発症して吐き気やおう吐を繰り返します。めまいを表現できず、不安や恐怖を訴える場合もあります。心身が未熟な時期に発症し成長とともになくなっていきます。片頭痛の発生機構が関連していると考えられています。
めまいの他の原因には内耳炎などの耳鼻科疾患のこともあり、しばしば眼のゆれ(眼振)を伴います。またまれに脳炎、脳腫瘍、頭部外傷、不整脈などの循環器疾患、内分泌疾患が見つかることがあります。乳幼児期には、言葉で訴えてなくても内耳の病気などで「一定方向に転びやすい」「よろめいて転びやすい」などの場合、めまいを起こしている可能性もあります。子供がめまいを訴えたら、耳鼻科や小児科、神経内科など専門医を受診するとよいでしょう。ふらつきの様子や眼振を携帯ビデオなどに撮って行けば、症状を伝えやすいです。
取材協力=帯広厚生病院小児科主任部長:植竹公明先生
この特集記事は十勝の生活応援マガジン「Chai」に掲載された「Chai子供の健康」を再編集したものです。
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