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 子供が鼻から出血することはよくあることです。多くの場合は鼻をつまんでいると数分で止血します。ただ、まれに先天性の出血性疾患や血液の病気などの場合もあります。鼻出血したときは、どのような状況で、どれくらい出血が続いたかなど観察して、医師に伝えることが大切です。帯広厚生病院小児科主任部長・植竹公明先生の協力でまとめました。

ほとんどが「キーゼルバッハ部位」の出血
 子供の鼻出血は多くの場合、指を鼻の中に入れたり、鼻を強くこする、ぶつけたなど、物理的な刺激が原因です。アレルギー性鼻炎や急性鼻炎、慢性副鼻腔炎では、鼻汁が粘膜を刺激しているため、鼻の入り口がただれムズムズしたりかゆみを伴います。そのため、ついつい触ってしまい鼻出血してしまいます。出血する場所はほとんどが、鼻の入り口から1~1.5㎝くらい奥にある「キーゼルバッハ部位」というところです。ここは毛細血管が多く薄い粘膜でできているため、少しの刺激でも出血してしまいます。指でさわるだけでなく、頻繁に鼻をかむことでも傷つけてしまうこともあります。子供の鼻出血は約90%がこの部位からです。

鼻の奥からの出血、血液疾患の場合も
 指を入れたり、こすったりする、ぶつけたなど一般的な鼻出血の止血法は、出血している場所を押さえる「ピンチング法」で、ほとんどが止血できます。方法は、座らせ、少し前かがみの姿勢にして、一般的に「小鼻」と言われる「鼻翼(びよく)」を、親指と人差し指で強くつまみます。子供の場合、鼻翼が小さくつまむ余裕がないこともあります。この場合は、鼻内に硬めに丸めた綿球やティッシュを挿入してつまむと効果的です。詰め物は奥に入れてしまうと取れなくなる場合もあるので注意が必要です。また、詰め物にあらかじめワセリンや軟膏を塗ってから詰めると、抜去時の再出血を防げてスムーズです。詰めた綿球やティッシュに血がにじんできても、なるべく交換せずに10分間ほどつまんでいましょう。同時に鼻根部を冷たいタオルや氷のうで冷やすのも効果的です。骨折や鼻が変形しているなどの出血は、専門医による止血が必要となります。
 
「首をたたく」「上を向く」は間違い
 「首をトントンたたく」「鼻をつまんで上を向く」というのは、誤った止血法です。首をたたいても全く意味がありません。つまんだまま上を向くと、出血がのどの奥に流れ込み、飲み込むと消化されず、おう吐したり、せき込みやすくなります。座らせて、少し前かがみの姿勢にして、鼻をつまみ、洗面器などを用意してのどに流れてきた血は吐き出すようにさせましょう。洗面器を見れば、どれくらい出血したかも分かります。鼻をぶつけたときは骨折の有無にかかわらず、鼻根部が腫れたり、皮下出血を生じるのでしばらく冷たいタオルや氷のうで冷やします。

鼻の奥からの出血、血液疾患の場合も
 10分程度つまんでも止血できない場合は、鼻の奥からの出血、血液の病気などの可能性もあり、医療機関で診てもらうことが必要です。箸や串などが刺さったり、骨折しているときは、止血できたかにかかわらず、早急に受診しましょう。緊急ではありませんが、すぐに止血する鼻出血を頻回に繰りかえす場合も受診が必要です。鼻出血で受診するときは、どのような状況で出血したのか、出血の量や止血するまでの時間、けがや物が刺さった可能性はないか、物が刺さったときはどのような物か、鼻の中に先などが残っている可能性があるか、また常用薬があるかなどの情報を、正確にしっかりと医師に伝えましょう。

取材協力=帯広厚生病院小児科主任部長:植竹公明先生
この特集記事は十勝の生活応援マガジン「Chai」に掲載された「Chai子供の健康」を再編集したものです。
Chai電子書籍版はこちら:https://www.catapoke.com/viewer/?open=66d6a

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