【ニコのびくらぶ】楽しく歯磨きできるかな? あの手この手で習慣づけ
十勝毎日新聞子育て面(毎週日曜)から、ママ、パパの生の声を伝える特集記事「ニコのびクラブ」をご紹介します! 離乳食が始まった頃、赤ちゃんの口を見て白くて小さな歯を確認したとき、親としては子供の成長をかみしめる瞬間なのでは。ただ、それから待っているのが「歯磨き」で、ママたちからは「嫌がって暴れる」「虫歯をつくってしまった」といった声をよく耳にする。十勝で乳幼児を持つママたちの経験談などを取材した。 (佐藤いづみ、安田義教、小寺泰介) 【2015年3月22日十勝毎日新聞に掲載】 ※文中の年齢や肩書き等は掲載当時のものです /嫌がる子押さえ付け/ 「1歳代は恐ろしいほど順調でした。2歳を迎えたあたりから、突如『ヤダ』と歯を磨くことを極度に嫌がりました」と話すのは、4歳女児のママAさん(29)=幕別。歯磨きのたび、嫌がる子供を押さえ付けながらの歯磨きが2年近く続いた。 【写真説明*】歯磨きを嫌がって泣く子供も少なくない 「子供のため。虫歯になる方がかわいそう」と信念を持ち続けたという。「多少歯石はあるが、今のところ、虫歯はゼロです」と胸を張る。 Aさんのように「嫌がる子を押さえ付けた」経験者は多い。4歳と2歳の子を持つBさん(32)=帯広=も「1人目は気長に取り組んだが、2人目は上の子もおり、面倒くさくて待っていられず、押さえ付けて歯磨きした。おかげでトラウマとなってしまい、しばらく歯磨きをやめざるを得なかった。その結果、2歳前に虫歯をつくってしまい、ショックだった」と打ち明ける。 逆に「上の子のまねをしたがる」心理を上手に利用したのが、小学6年から4歳まで4人の子を持つCさん(32)=更別。「自分で1回磨かせ、最後に親が仕上げをする」とし、さらに「歯ブラシは『(アニメの)プリキュア』など好きなキャラクターのものにしたり、果物味の歯磨き粉などを使ったりして気を引いている」とも話す。 3児のママDさん=中札内=も「2番目の子供が歯科検診のフッ素で吐いてトラウマになって以来、市販のジェル状のフッ素を常用。そのせいか、下の4歳の子も虫歯ゼロ」と笑顔だ。 4児の母の主婦Eさん(39)=同=も「お風呂で遊びながら歯も磨く習慣づけをした。眠くなると、歯を磨かず寝てしまいがちなので、夕食後はお菓子を食べさせない」と話す。 /寝転び遊び感覚で/ 前述のAさんは歯磨きの際、女児を膝の前に寝転ばせると“言葉まね遊び”をするのが最近の日課という。言葉は「あはは」と「いひひ」のみ。Aさんは「口を開けてほしいときは『あはは』、前歯などを磨きたいときは『いひひ』と言わせます。ゲーム感覚で子供は喜び、子供の方から寝転びます。普段はフルタイムで働いているので、いいコミュニケーションになっています」と話した。 2児の母Fさん(37)=池田=は「嫌がるのを無理やり押さえ込まず、楽しませたり、気をそらしたり、あの手この手を考えた。夫婦とも歯が弱かったので、子供には歯磨きを嫌いにさせないように気を付けた」と話した。 /行木隼人さん(なめき歯科医院院長)十勝歯科医師会 「仕上げ奥歯は念入りに」/ 子供の歯、そして歯磨き、何をどう気を付けたらいいか-。十勝歯科医師会で理事(学校青年担当)を務め、自身も3児のパパでもある歯科医の行木隼人さん(43)=音更、なめき歯科医院院長=に聞いた。 一番の予防は、食生活など生活リズムを整えること。だらだら食べや糖分の多い食事は、口の中が常にばい菌の餌となる糖分がある状態であり、虫歯になりやすい。働いていて忙しくても、ゆっくり食事を取る曜日などを決め、少しずつ実践してほしい。 【写真説明】幼児期の歯の悩みなどを優しく説明する行木さん 歯磨きは5、6カ月で離乳食を開始し、歯が生え始めたかな…という時期から始めるのが一般的。まずは口の中などに触れ、慣れさせることが大事。「子供の歯は虫歯になっても抜けるので大丈夫」という人がいるが、それは間違い。新しい大人の歯がいくらきれいでも口腔(こうくう)内の汚れた状況が続くと、虫歯のリスクが高まる。 歯磨きを嫌がる子に苦労する親は多いだろうが、日中は唾液がある程度分泌しておりそれほど心配ないので、最低限、寝る前はしっかりと磨いてほしい。幼少期は親が仕上げをしてあげるのが重要。特に上の奥歯の頬側と、下の奥歯の内側は磨きにくく歯垢がたまりやすいので、特に念入りに磨いてあげて。まずは定期的に見てもらえる歯科を確保し、相談してほしい。