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 プレイセンターを帯広市内に8月開設する、NPO法人子どもと文化のひろば「ぷれいおん・とかち」(今村江穂理事長)は6月30日、とかちプラザで講演会「あなたはどこで誰と子育てしますか?」を開いた。東京都内でプレイセンターを運営する足立隆子氏が、センターの意義や保護者の関わり方について話した。講演要旨を紹介する。
(川野遼介)
【2018年7月15日付十勝毎日新聞に掲載】

 プレイセンターはニュージーランド発祥の親子の遊び場で、就学前の子どもと保護者が集う。その場限りの遊び場ではなく「親子が共に成長する」という目的を持った場であることが特徴だ。

 プレイセンターには(1)子どもが自由に選べる遊び(学び)(2)親による協働運営(3)親のための学習プログラム-という3本の柱がある。

【写真説明】「プレイセンターは親子が共に育つ場」と話す足立さん


 子どもたちが一斉に何かをすることは少なく、自由に好きな場所を選んで遊ぶことを基本に据えている。そのため、子どもが目的を持って自分らしく生きていく道筋の第一歩を、みんなで守ってあげることが大事だ。

 プレイセンターの運営には「エマージェントリーダーシップ」という考え方がある。固定のリーダーがいるわけではなく、参加者全員が刻々と起こる出来事に、どういう動きをするかを心掛けている。新しい人が入ってきたときに声を掛けたり、小さなおもちゃが床に落ちて危なくないかを知らせたりなど、子どもや保護者が心地よく過ごせるよう配慮している。

 プレイセンターでは親が子どもをよく観察するという体験を通し、子どもの特性を知識だけでなく実感として感じる経験ができる。子どもと価値観を共有し、相互に理解していくうちに、親も子育てについてある程度自信が付くようになる。いつも子どもに振り回され、自信がない親は自己肯定感が低い。

 日本人の自己肯定感の低さは世界的にも有名だ。子どもがその子として尊重されることが少なく、その原因は親がつくっていることが多い。親はよそからどう見られているかを気にするあまり、それを優先させて何気なく発言した言葉が子どもを傷付け、その子の自己肯定感を育たなくしてしまっているのではないか。ただ我慢させるだけではなく、子どもに寄り添い、子どもの立場で考える必要がある。

 プレイセンターでは、親子が共に成長することができる。親が育つことで親子の周りや地域が育ち、活性化され、それが社会を育てていくことにつながる。また、親子がコミュニケーションを取ることで互いを尊重し、遊びに来る親子の満足度が大幅にアップする。こういう価値観を知ることで子どもにはもちろん良い影響があり、自分自身も育つことができる。

 プレイセンター協会ではスーパーバイザーの養成、テキスト提供、ワークショップの講師などを行っている。全国にあるプレイセンターをつなぎ、交流し情報を交換することも行っている。またニュージーランドのプレイセンターを見学できるツアーも計画している。日々の活動の中で、子どもたちから教えてもらうという考え方でいれば、自分が育っていくことができる。

<あだち・りゅうこ>
 東京都在住。NPO法人日本プレイセンター協会副理事長・スーパーバイザー。NPO法人こだいら自由遊びの会理事長。2002年に東京都国分寺市で日本初のプレイセンター「ピカソ」を立ち上げた。18年からは子ども食堂も開設するなど活動は多岐にわたる。


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