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「おはなし会」やセット貸し出し好評 児童書7万2000冊

 開館10年を迎えた帯広市図書館(前原匡宏館長)は、児童図書コーナーが充実している。児童書の蔵書数は約7万2000冊で、開館時から2万冊増えた。乳幼児向けの読み聞かせ会も開くなど、親子で本に親しむ環境づくりに取り組んでいる。
(安田義教)
【2016年5月8日付十勝毎日新聞に掲載】
※文中の年齢や肩書き等は掲載当時のものです

 「たくさん絵本があって迷う。娘にとって読みたい本を自分で選べるのがいい」

 帯広市のパート職員三浦恵美さん(40)は、長女の鈴ちゃん(3)が、本棚から気に入った絵本を選ぶ様子をうれしそうに話す。貸出期間の2週間ごとに、子ども2人と来館している。
【写真説明】児童図書コーナーの専用室で毎週土曜日と隔週水曜日に開かれている「おはなし会」

 現図書館は開館当時、児童図書コーナーを大きく拡充。旧図書館から蔵書数を約1万冊増やし、1階の児童図書コーナーには幼児、小学生向けの児童書、絵本、紙芝居など約5万冊を置いた。その後も蔵書数を充実させ、今日に至る。

 特に西側の幼児用は、高さ1メートル余りの低い書架に国内外の絵本が並ぶ。書店の雑誌書棚のように、表紙が見えて誰にでも探しやすいように工夫されている。薄い絵本は背表紙のタイトルが読みにくいため、タイトルが分からなくても絵を見ればすぐに分かり、幼児でも手の届く高さにある。

 人気なのは年齢ごとの絵本をセットにした「プチトマト」(10冊)。0~1歳、2~3歳、4~5歳、弟や妹ができる子向けの5種類あり、本を選ぶ時間がない人が利用している。トイレトレーニングや風呂、歯磨きなどの「しつけ」がテーマの本をそろえた0~3歳向けの「プチコーン」は、用意した15セットが常時貸し出し中の状態だ。図書館友の会が製作するフェルト製の「布の絵本」は、赤ちゃんも安心して触れて楽しめる。

 一番奥には靴を脱いで上がる「お話し室」があり、親子で床に座って絵本を見ることができる。十勝童話会などボランティアによる「おはなし会」は、幼児から小学校低学年向けが毎週土曜日、乳幼児向けが隔週水曜日に開かれている。

 最近は乳幼児向けが好評。多いときは親子で30組ほどが参加し、部屋がいっぱいになるほど。「終わった後は絵本を選んだり育児本や離乳食の本を見たりするお母さんの姿を見かける」(同館)という。

 書棚と書棚の間の通路は広く、ベビーカーを押しながら本を探せるよう配慮されている。授乳室、児童専用トイレ、閲覧席を配置した「親と子のふれあいコーナー」など、利用者の目線を考えた設備も充実している。

 開館後の貸出冊数は、27万9027冊(2006年度)から28万7009冊(14年度)に増加。前原館長は「小さい頃から読み聞かせすると、中・高生になって本から一時離れる時期があったとしても、大人になってまた本に戻ってくる傾向がある。これからも本に出合い、親しめる環境をつくりたい」と話していた。

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