可愛い子には旅させよ。
先日、我が家にマディソン市からの交換留学生がホームステイすることになった。 年は14歳、こちらではまだ中学生の年齢だが、アメリカでは9月から新学年に変わるため、9月になると高校生になるのだとか…今は長い春休みといったところらしい。 彼女は、我が娘よりも年齢は下だが、とてもしっかりしていて海外旅行も慣れているようだった。 また、日本語もとても上手で、我が娘にとってはあまり良いことではなかったが、積極的に日本語を使おうとしていた。 彼女の両親は父は大学院の教授、母は元教員だったが、今は学生アドバイザーという仕事をしているらしい。 年の離れた兄もまた、大学の講師という教育に携わる一家であった。 そのせいか、彼女は勉強熱心で、少なくとも我が娘よりも、しっかりしていて、大人に見えた。 元々はルーツが中東である彼女達一家は、家族で中東に旅行したり、彼女も友人とエルサレムに出かけたと聞いて驚いた。 私など今回アラスカ州のスワード市に娘が交換留学生として出かけるだけでも、心配で心配でたまらないのに、彼女は13歳で友人達と中東まで旅行に出かけたと言うのだ。 それも政情不安定な国へ… 彼女に「ご両親はよくあなたを旅に出してくれたね?」と尋ねると、とても不思議そうな顔して「えっ⁈どうしてですか?」と… 彼女のご両親は、人生は旅のようなものだから、旅をすることはあたり前のことだと。 だから、親から離れて旅に出ることは、成長の証だから、別に心配したりはしません。と答えてくれた。 さすが、アメリカ…いや、さすが優秀な人達は違うと思った。 私は子育てを、少し考え直さねばならないと痛感した。 いつまでも、我が子を手元に置いておきたい…などと、親の我儘を押し付けてはいけないのだ。 いや、わかってはいたのだが、やはり親の側にいれば、親が盾となり、いつまでも守ってあげられるような錯覚に陥っていた。 我が子が可愛いならば、旅をさせなければならないのだ。 「可愛い子には、旅させよ。」 今、我が子はまだ、渡米中である。 今は成長して戻ってくるのを楽しみに待っている。 保前明美(ほうぜん・あけみ) 旭川出身。地元の高校卒業後、短大英語科を経て塾講師として学習塾に勤める。 結婚後は家庭に入り、現在大学生を筆頭に1男2女の子育て中。 放課後子ども居場所広場みどりっこクラブ(よんかけサポーターズクラブ)代表、帯広市PTA連合会顧問。 モットーは「和して同ぜず」。