【子供の健康】インフルエンザは、ワクチン接種と手洗いで予防
インフルエンザが流行する季節が近づいてきました。本州では、症例は多くはありませんが、9月初めに感染患者が報告されています。例年、年末年始ごろから春まで流行します。帯広厚生病院小児科主任部長・植竹公明先生の協力で、インフルエンザの予防、感染した場合の症状などについてまとめました。
ウイルスが口や鼻から入り感染する
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染して引き起こされる感染症です。人が感染するインフルエンザにはA型、B型、C型があり、流行するのはA、B型で、重症化することもあり、C型は軽症で済むことが多いです。A型はさらに144種類の型(亜型)、B型は2種類に分けられます。このため同じA型でも、型が違うものが同一シーズンに流行すると、それぞれの「A型」に感染したり、A型とB型の両方にかかったりすることがあります。
インフルエンザは、ウイルスが口や鼻から侵入して呼吸器の粘膜に感染し、増殖することで、さまざまな症状を起こします。感染経路は、飛沫(ひまつ)感染と接触感染です。飛沫感染は、すでにインフルエンザウイルスに感染している人のせきやくしゃみによる飛沫、鼻水などが飛び、他の人の口や鼻から吸い込み感染が広がります。接触感染は、ウイルスが付着した手で人に接触したり、ウイルスがドアノブやタオルなどに付いて、他の人が触り口などから取り込むことによって感染します。感染させない、感染しないためには手洗いが大切です。インフルエンザウイルスに対しては、ウイルスの増殖を阻害する治療薬(抗インフルエンザ薬)があります。病気の期間を短くしたり、症状悪化を防げる可能性があります。
乳幼児は重症化することも。発症後は注意深く見守りを
インフルエンザウイルスの潜伏期(感染してから症状が現れるまで)は、通常1~3日です。インフルエンザと風邪の症状の違いは、風邪の場合は、のどや鼻に症状が現れますが、インフルエンザは、まず、急に高熱(38℃以上)が出るのが特徴です。そして、倦怠(けんたい)感、筋肉痛、関節の痛みなど全身に症状が出てきます。気管支炎や中耳炎、肺炎などを併発したり、脳炎、急性脳症など重症化することがあります。
乳幼児が重症化する場合、症状が悪化するのはインフルエンザ発症から短時間のことが多いため、発症後は注意深く見守ることが必要です。手足を突っ張る、けいれん症状、視線が合わない、呼び掛けに反応しない、意味不明な言動があるなどの場合は、脳症が疑われます。呼吸する回数が多い、顔色が悪い、唇が紫色になっている(チアノーゼ)など呼吸の状態がいつもと違う場合は、肺炎や心臓を動かしている筋肉(心筋)にウイルスが感染して心不全、不整脈などを起こす心筋炎が疑われます。早急に医療機関を受診しましょう。
学校保健安全法では、インフルエンザにかかったときは、学校を休まなければいけません。出席停止期間は「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」となっています。発症とは発熱が始まった日のことです。保育園児や幼稚園児は「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで」と、1日長くなっています。
ワクチン接種は、予防のほかに重症化を防ぐ目的も
インフルエンザの一番の予防方法は、ワクチン接種です。接種したからといって、絶対に感染しないというわけではありませんが、インフルエンザの発症予防、重症化を防ぐには一定の効果があるとされています。13歳未満の子どもは2回接種となっていて、1回目と2回目は、2~4週間程度の間隔をあけることが推奨されています。13歳以上は1回接種となっていますが、2回接種することも可能です。ワクチンは、鶏卵成分に由来するため、卵アレルギーを持つ人は医師に相談しましょう。
取材協力=帯広厚生病院小児科主任部長:植竹公明先生
この特集記事は十勝の生活応援マガジン「Chai」に掲載された「Chai子供の健康」を再編集したものです。
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