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【音更】小児救急のスペシャリスト植田育也さん(埼玉県立小児医療センター小児救命救急センター部長)を招いた講演会「子供たちの身近に起こりうる事故について」(豊川小児科内科医院主催)が11日、町木野コミセンで開かれた。医療や保育、行政関係者ら約250人が聴講した。植田さんは、これまでの事故の実例や悲惨な事故を防ぐためのポイントを解説した。講演の要旨を紹介する。
(川野遼介)
【2017年10月22日付十勝毎日新聞に掲載】


 日本では0歳の死亡率は世界一低く、5歳以上も先進国平均の8割ほどだ。

 一方で、1~4歳の子どもの死亡率は主要先進国の中でも高く、ほぼ世界一と言っていい。子どもの死因の第1位は不慮の事故だ。
【写真説明】子どもの事故を防ぐためのポイントを説明する植田さん

 ただ、赤ちゃんから中学生までを24時間受け入れる小児救命救急センター(PICU)は日本でまだ13カ所しかなく、北海道にはまだない。

 不慮の事故を防ぐためには「救命の連鎖」という言葉を覚えてほしい。まず一番大事なのは予防だ。予防しても何かあった場合には救命処置して搬送、救命治療といった流れになり、いろいろな職種の人々が時間的に連鎖して始めて1人の子どもの命が救える。

/家の中危険だらけ/ベッドの柵で窒息・添い寝で下敷き

 予防について、家の中は危険がいっぱい潜んでいる。例を挙げると、子どもの転落を防止するためにベッドに柵を付ける人がいるが、これは危ない。柵とベッドの間に挟まって窒息して死んでしまう事例が過去に何度もあった。

 また、大人の下敷きになっても逃げられない赤ちゃんと添い寝はせず、かたい布団であおむけで寝かせないと窒息する恐れがある。洗濯機や風呂の湯なども窒息や溺水の危険がある。

 家の中では一度子ども目線で視点を落とし、家中を一周見て回ってほしい。すると、戸棚や窓の高さ、手の届く範囲に異物があるなど危険が見つかることがある。

/親は安全守る義務/

 家の外では、車に子どもを乗せた場合に、チャイルドシートをしっかりしている割合は約5割にとどまる。そのうち、ベルトをしっかり止めているのはその半分だ。つまり日本では、4人に1人しか運転中の子どもの安全は確保されていないことになる。

 子どもの安全は親の責任。過去に車で、おむつ替えをするためにチャイルドシートを外していた1歳の女の子が、正面衝突の事故に遭い、寝たきりになってしまう例があった。

 子どもの安全を守るためには、危険が身の回りにあることを理解し、子どもへの教育など保護者の義務を果たしてほしい。

 もちろん、危ない商品で事故があった場合は製品の製造側にも責任はある。これらは両輪。親も製造者もお互いに子どもの安全を考える社会にしていかなければならない。また、それを支えるのは地域の皆さん。地域の人に情報を共有して救命の連鎖がつながっていくことを期待している。

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