「だって、私苗字変わるんだもん…」②

保前明美（33）更新／2016.07.19

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～前回から続く。

「お父さんとお母さん離婚して、お父さん家を出て行っちゃったんだ…わあー」と大声で泣き始めました。

私はそんな彼女を見て抱きしめずにはいられませんでした。
しばらく、抱き合って二人して泣いていました。

子どもだって、大人以上に辛い目に遭ってる。
苦しくて、悲しくて、どうしようもない胸のうちをずっとこうして隠しながら、毎日を生きていたんだ…と思うと、切なくて、苦しくて、彼女が愛おしくてたまりませんでした。

彼女は、仲良しの私達スタッフにそれをわかってほしかった。
だけど、それを伝えられずに信号を出し続けていたんだなと…

「ごめんね。保前さん、◯◯の気持ち全くわかってあげられなかった。ごめんね…」
すると、彼女も「ごめんなさい。もうあんなことしないから、またみどりっこに来てもいい？来週も来てもいい？」と。
それから彼女は小学校を卒業するまで毎回欠かさずみどりっこに通いました。中学校に行ってからも、何度か顔を出してくれました。

私達は、子ども達の家庭事情まで中々把握できません。また、知ったところで、何もしてやることはできません。
だけど、この件のように、子ども達の行き場のない思いを受けとめてあげることはできます。
そして、そんな子ども達をいつでも温かく迎えてあげる準備だけはしています。

大人の事情に巻き込まれ、振り回される子ども達。
私達スタッフは、そんな子ども達の心にそっと寄り添える大人でありたいと思います。