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企業の意識向上や教育費軽減  行政サポート強化で“心情”対策も

 第2子の誕生をきっかけに昨年末まで7カ月間の育児休業を経験し、国の少子化対策が進んできたと思う半面、簡単に複数の子どもを持つ社会環境にないことも肌で感じた。少子化が続く現在、国の制度の先を行く「子育て王国十勝」になるための提言を、私なりに考えてみた。
(政経部 関坂典生、36歳)
【2016年1月24日十勝毎日新聞に掲載】
※年齢、肩書き等は掲載当時のものです


 ◆提言(1)ワークライフバランスを

/人呼び込む勤労慣習/
 十勝は国の農業政策をリードし、最先端技術を取り入れた「農業王国」といわれている。十勝の風景はかつて訪れたヨーロッパの農村と重なる。ヨーロッパのような十勝で、育児制度もヨーロッパ並みに整えれば「子育て王国」になる可能性はある。

 仕事と生活のバランス「ワークライフバランス」を十勝の企業が率先して行うことが重要だ。国が定める労働関連法の順守は前提条件として、十勝で暮らすことが豊かに感じられるような職場の取り組みが出てくれば全国から注目される。ブラック企業がはびこる地域では人材が定着せず、制度が整う大企業に人は流出する。十勝に人を呼び込むような勤労の慣習があれば、人口減対策にもなる。


 ◆提言(2)高騰する教育費対策

/授業料抑制へ公的支援/

 文部科学省の2015年度学校基本調査では、大学進学率は51・5%と過去最高だった。「文部科学白書」によると大学4年間の教育費は、下宿・アパート暮らしで仕送りをする場合、国立大学で530万円、私立大学は790万円となる。

 幼稚園から大学までにかかる費用だと、幼稚園と大学(下宿・アパート)が私立、他は公立のケースで1440万円。お金がないから大学に行かせないといってしまえば簡単だが、2人に1人が大学に進学する時代。この経費は一応想定していた方がよさそうだ。

 大学授業料は値上げが続く一方で、1世帯当たり平均所得金額は右肩下がりとなっている。授業料抑制につながる行政的支援や賃金アップが求められる。さもなければ教育費は重く、簡単に子どもをもう1人とはならない。


 ◆提言(3)個人主義の心情対策

/心のゆとりを大切に/
 自己実現の欲求が優先される成熟社会においては、子育ては心理的な負担になっていると感じた。

 育休によって生後8カ月までの乳児と、通園しない日には長男(4)も一日中相手にした。夫婦で協力すれば負担は軽いのだが、1人で家事と2人の子守りをするとなれば時間的ゆとりはほとんどない。

 核家族が増え母親のみで育児をする家庭が多い中、出産間もない母親1人で子どもを2人以上面倒をみるのは過酷だ。帯広ではようやく「育休退園」が解消されるが、母親の心情を考えると、専業主婦にも上の子の保育があってもいい。

 昔のように自己犠牲を強いて、金も時間も辛抱せよというのは酷だ。高度経済成長期より育児サポートは充実しているとはいえ、現代人が求める心理的ゆとりに応えているのだろうか。行政サポートを強化しなければ、多産社会には戻らないだろう。

◇ ◇

 厚生労働省「人口動態統計」によると、2014年の平均初婚年齢(妻)は29・4歳。30年前は20代半ばで第1子を出産したが、今は30歳を超える。晩婚化が進むと第2、3子は難しい。晩婚化、女性の社会進出、共働き、非正規労働の増加などが複雑に絡み合っており、少子化の特効薬はない。何か1つでも着実に解決することが、少子化脱却への第一歩になるのだろう。

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